焦燥感とは
焦りと不安が入り混じり、イライラしてしまい、落ち着きがなくなる状態です。
焦燥感にかられると、不安からくる切迫感から集中力や判断力が低下し、ミスが増える、後で後悔するような行動を取るなど日常生活に悪影響を及ぼします。
また、焦燥感による不安感からストレスが溜まり、自律神経のバランスが崩れ、身体的・精神的な問題も引き起こされます。焦燥感にかられる原因を特定し、適切な対処をすることが重要です。
焦燥感の原因
焦燥感は、様々な精神疾患や心の不調によって引き起こされます。代表となる疾患は下記の通りです。
全般性不安障害(GAD)
特定の原因がないにも関わらず、不安を感じて落ち着かなくなる状態です。焦燥感と同時に不安が生じることが多いです。
統合失調症
考えや行動がまとまらなくなる疾患です。症状の一つに焦燥感があります。また、統合失調症の治療薬の中には、そわそわした感覚が副作用として現れるものもあります。
その他
ホルモンバランスが自律神経に影響を及ぼすため、更年期障害や甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)など、内分泌の異常で焦燥感が生じることがあります。
さらに、アルコールや薬物に対する依存症に関連して、焦燥感が現れるケースもあります。
焦燥感とともに
落ち着きのなさがあるときに
考えられる病気
焦燥感とともに不安感があり、落ち着いた思考や行動が難しい場合、次のような疾患が考えられます。
線維筋痛症
身体全体の幅広い筋肉や関節などに激しい痛みが生じ、その症状が3か月以上継続する疾患です。痛みと共に、強い疲労感などが現れ、動悸や夜間発汗、震えやこわばり、不眠、抑うつなどの症状が現れます。
更年期障害
更年期には女性ホルモンの分泌が急激に低下することで、多岐にわたる身体的、精神的症状が現れます。理由の分からないイライラや落ち着きのなさなどの症状に悩むケースもあります。更年期症状が激しい場合、日常生活に影響がある場合は更年期障害と診断されます。また、男性も女性と同様に中年以降は男性ホルモンの分泌が低下するため、イライラや焦りなどの症状が現れることがあります。
適応障害
適応障害は、現在置かれた社会的状況へ適切な対応ができなくなる疾患です。環境の変化によるストレスが強く影響し、焦燥感や不安を感じます。この状態が続くと心と身体のバランスが崩れ、日常生活に悪影響を及ぼす恐れがあります。適切な治療で改善が期待できますので、お悩みの症状がございましたら当クリニックまでご相談ください。
強迫性障害
ある事柄に囚われ、過度なこだわりを持ってしまう疾患です。例えば、ガス栓を締めたか不安になり外出したいのに何度も家に戻ってしまう、手の消毒や家中の消毒を繰り返すなどの行動が挙げられます。このような過剰な不安で日常生活に影響が生じ、放置するとうつ病など他の精神疾患を併発するリスクが高まるため、お早めに当クリニックまでご相談ください。
睡眠障害
睡眠障害には不眠と過眠があり、体内時計をうまくコントロールできず、生活リズムが乱れることで生じるものもあります。いずれの場合も、睡眠の質が低下し、日中の活動に影響し焦燥感を感じることがあります。睡眠の質の向上は心の健康にもつながりますので、お悩みの症状がありましたら、お早めに当クリニックまでご相談ください。
双極性障害
双極性障害は、「うつ」と「躁」の2つの状態を繰り返す脳の不調です。うつ病と同様にうつで不安が強いときには焦燥感を感じます。
一方、躁状態では、駆り立てられる感情から焦燥感が生じやすいです。ストレスの影響を受けることで焦燥感が強まることがあります。双極性障害は脳の不調で、適切な診察と治療が必要です。気になる症状がある方はお早めにご相談ください。
甲状腺機能亢進症
バセドウ病などの甲状腺機能亢進症を発症すると、身体を活発にする甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、動悸、息切れ、体重減少などの身体的症状だけでなく、イライラや不安、落ち着きのなさなどの精神的症状が現れることがあります。治療は内分泌内科の専門医へご紹介します。
注意欠如・多動性障害
(ADHD)
集中できず、じっと座っていられないなどの特徴を持つ発達障害の1つです。はっきりとした原因は分かっていませんが、疾患というよりは生まれつきの特性と捉えられています。成長過程で発見されることもありますが、変わった性格と片付けられ、大人になってから発見されるということも多いです。
焦燥感・落ち着かないときの
対処法
不安は防衛本能として現れるため人間の自然な反応です。 「不安は当たり前の感情」と認識し、ご自身の不安を認めてあげることが大切です。その上で、不安と上手く付き合う方法をご自身で見つけることがストレスを軽減する近道となります。
辛い症状が続いている方は医療機関の受診が有効な場合もあります。お気軽に当クリニックまでご相談ください
- 腹式呼吸をする
- ヨガ・散歩・ストレッチを行う
- 音楽を聴く・湯船につかる・ご飯を味わって食べる
- スマホから離れる
- 親しい人・信頼できる人に相談する
- 目の前にあるものの名前を言う
- 出来事や感情を書き出す
など